私たちは、ある日こんなことを話した(4)

私たちは、ある日こんなことを話した(4)

参加者は、住民Aさん、南翔伍さん、永嶋の三人です。
いつものように、もはや、ひきこもり当事者なのかどうかとか、障害者なのかどうかとかはどうでもよくなっての住民トークというスタイルです。
おそらくは、身近に福祉がある環境の住人として、福祉への敬意を持っているはずの三人なのですが、ある種のモヤモヤを抱いてもいる……そんな微妙な感じを話せたのか話せなかったのか。
間違ったことも言っているかもしれませんし、異論を誘発しやすい内容かもしれません。
でもこのトークの空気感と視点、読み取っていただければ嬉しいです。

Aさん:(持ってきた焼き芋を食べながら)えっと、永嶋さん、南さんは「支援」というものに疑問を持っていた?

永嶋:うん、(支援という言葉には)何か引っかかります

南:うん

Aさん:私も最近、支援というものについて考え方が変わった部分がありまして、お話させていただきたいんですが……

永嶋:か、かたいですね

Aさん:いや導入部分なので(笑)とりあえずまとめたんですよ録音が入るから

南:(笑)

永嶋:はい……もうちょっとやわらかくいっていただいたほうが載せやすいかなと(笑)

Aさん:はいそうですね

永嶋:まあそういうかたい言い方をしながら芋を食うというのも面白いとも思うんですけど(笑)

Aさん:南さん:(笑)

南さん:ムシャムシャ

Aさん:(笑)人というのは腹が減っては戦はできぬ

永嶋:南:ま、そりゃそうですね

Aさん:今までの支援っていうと、支援を受ける側と支援する側っていう二者関係、特に障害者福祉とかだと、望む支援もそうじゃない支援も全部用意されたものを受ける。介護とかもそうですよね

永嶋:南:うん
Aさん:障害者だったり高齢者だったりになったときに受ける側としては、(一方的に)受けるだけで、その人が何かをしたいと思っても与えるってことがやりづらくなっていってしまっていると思うんです。ていうか一方通行の関係になってる気が

永嶋:うん

Aさん:それはなんか違うなって気がしてて、福祉のお世話になるってなると、その人の主体性みたいなものがちょっとづつ失っていく、そんな感じがしててそこがちょっと疑問なんですね

永嶋:南:うんうん

Aさん:例えば手足が不自由で、皆さんの力を借りないと日常生活がおくれないってなってても、でもその人は歌が歌えるかもしれないし、別の事で表現して誰かに何かを与えることもできるかもしれない。一方通行の関係だと、やっぱりその人の自由というか主体性を失っていくことにもつながりかねないから

永嶋:うん

Aさん:それを応用していくと、ひきこもりの支援も、望まない支援を受けることになりがちかと

永嶋:うん

Aさん:ひきこもりだからという型にはめられて「じゃ就労どうか」とか「家から出るのどうか」とか一方通行になっていきがちっていうのが、私は疑問持ってたんです

永嶋:うんうん

Aさん:お二人の疑問とどう違うのかわからないけど。で最近思ったのは支援ていうのは、私は「存在」だと思っていて

永嶋:ほう、どういう意味ですか

Aさん:うーん、例えば私も支援を受ける立場だったときがあったんですけど、引っ越しを機に今そこの支援施設と切れたんですね。切れたんだけど、施設のサービスを受けられなくても、そのお世話になった人というのは存在してるわけですよ

永嶋:うん

Aさん:で、お世話になると、その支援者と呼ばれる人のことも色々知っていけるわけです

永嶋:南:うんうん

Aさん:この人はどういうとこが優しくて面倒見がよくて、こういう厳しい事指摘してくれてとか……例えば、その人からしてもらったことは、私洋服を買うお金なくてサイズが変わっちゃったんですねズボンの。で冬物のズボンが買えないってある支援者の方に言ったら「私のおさがりあげるよ」って言ってくれたんです。袋一杯服持ってきてくれて、それがすごく嬉しかった

永嶋:うん

Aさん:それは型にはまった福祉サービスだとか支援とかではないですよね?

永嶋:南:うんうん

Aさん:洋服あげるよってのは友達のレベルみたいな

永嶋:うん

Aさん:ちょっと困ったから一緒にお昼食べようとか、そういうことでもその人のことを知れるというか、で今は制度としての支援者と支援される側という関係はなくなったけど、その人の住んでいる場所に行けばその人の存在ってのはある

永嶋:南:うん

Aさん:その存在があるだけで、私が心細くなったとき、例えば最悪死んでしまいたいと思うほどしんどい辛い気持ちになったとき、その方の存在を思い出したり。後はそこまでいかなくても、悩みがあったときとか、どうやって選択したらいいんだろうってときに、この人だったらどう考えるだろうって存在があるだけで、支援になりうるのではないかということをちょっと考えたりします

永嶋:服をあげるよというのも、受け取る側が望む状況があってということですよね

Aさん:うーん。あってというか、フフ(芋食べる)「服買うお金ないんだけどさあ」っていう日常会話、友達に言うような、「やだあ、家に古着あるから今度持ってきてあげるよ」みたいな

永嶋:うん

Aさん:うん、そういう会話

永嶋:いやまあ、例えば人によってはあげるよってことが「バカにすんな」って思うことがあるかもしれない

Aさん:あー、そうね

永嶋:なにがしか信頼関係が出来上がっていて、そのあげる受け取る関係がコミュニケーションとして成立したってことですよね?

Aさん:うん

永嶋:嬉しいこととしてちゃんと成立したってことですよね

Aさん:(芋を食べる)

永嶋:(芋を食べる姿を見ながら)こういう空気感を○○○○○○○○○○(自主規制により伏字)

Aさん:南さん:(笑)

Aさん:存在があってその人とコミュニケーションするところから始まる。やっぱりコミュニケーションって、ほら、なんだろ……わかりあえたねっていうか、ボールのキャッチで例えられるけど、キャッチできたねって瞬間がコミュニケーションってあると思うんですよ

永嶋:南:うん!そうですね

Aさん:その瞬間に、初めて支援が生まれるっていうか

永嶋:うん

中略

Aさん:一人だったらさ、コミュニケーションって成立しないし、その方と週末話したんだけど、福祉って困ってる人を一人にさせない……一人にさせないってことはその人を知ってくこと……

永嶋:うん

Aさん:知ってくことで、今何に困ってるのかなとか。例えば就労移行だったら、どういう性格の特性があったりとか、やっぱりコミュニケーションしていくうちにわかるじゃないですか

永嶋:うんうん

Aさん:あと逆にこれをやっちゃうとすごく困ってしまって、なんだろう情緒不安定になってしまったり対応できなくなったりということを知ってくこと……だから一人にしちゃいけないし……もし就労移行の施設があるんだったら、会社さんに、その人をよく知ってるよっていうところの中間的な存在で補助的に伝えていくコミュニケーションなのかなって

永嶋:そうですね

Aさん:だからモデルとして、支援者、支援施設、利用者、障害者だったら障害者枠とか全部ガチガチに決めてしまうと、そういうことって業務の一環とかなっていくから

永嶋:うん

なかなか、今言ったような発想が生まれてこないし、利用者さんが一番苦しくなってくると思う

永嶋:南:うんうん

Aさん:こういう利用じゃないとダメなんだとか、こういう枠じゃないと働けないんだとか、苦しくなってくよねって

永嶋:うん

Aさん:いくら障害を持ってても、すごく飛びぬけてできる部分ってあるんですって。だから会社さんもそこだけをみたら、普通の一般枠の人よりも仕事できる人もいるとみてる……で会社さんは、どこを知りたかったかっていうと、障害を持っているってことはその人が困るときがあるわけですよね?その人が困ったときの会社としての対処法を教えて欲しいと。

永嶋:うん

Aさん: そこをアドバイスするのが障害者と会社の中間的立場の施設の役割なのかなあって話をしたんですけどね

永嶋:今の話で言うと、飛びぬけたところっていうのは、ストレングスモデルとかで語られるストレングスということですよね

Aさん:そうです

永嶋:その困ってる、できないってところをサポートするのは、最近よく言われる合理的配慮って言葉で語られたりすることですよね

Aさん:うん

バリバリバリバリ(パンの袋の音)

Aさん:(パンを食べる)

永嶋:今パン食べてます(笑)

南:げへへへ

Aさん:不真面目じゃないんですよ(笑)

永嶋:もちろん
Aさん:私も食に関して不自由なもんで(笑)

永嶋:こういうとこ、むしろこうであってほしいと思ってて

Aさん:そうですか?パンと焼き芋を持参する?

永嶋:ていうか、あの、食べたりとかっていう場であってほしいと思っていて

Aさん:(パンを食べながら)どうぞお話続けて下さい

永嶋:結局ストレングスっていうのは、すぐみつかる人もいれば、すぐみつからない人もいるんだろうと

Aさん:うん

永嶋:そこの部分は、やはり粘り強くというか、一緒に見つけていくってことは大切だと思います。場合によっては、それに合わせてほんとは仕事を作り出すってことまでやれれば最高なんですが、ものすごく大変で……道のりは大変ですが、そこまでできればカスタマイズ就業ってものになるんですよね

Aさん:そうですね

永嶋:カスタマイズ就業がすばらしいなと思うのは、働く方の強みを見つけ出すと同時に、地域の困りごとをよく聞いておくんですって色々

Aさん:南さん:うんうん

永嶋:困りごとを聞いておくと、これをマッチングするときに上手く出来たりすることもある。現状ある仕事を分割して新しい仕事を生み出せることもある、ときには。そういうことができれば僕は……楽しいですけどね。
Aさん:両者との関係性を深めてコミュニケーションをとった上で懸け橋になる

永嶋:そうですね、言葉で言えばね。で、たぶん雇う側が困っている事を解決するために雇用されたら、その人は多分、自尊心が保てるんじゃないかと思うんですよね。でももちろん現状は甘くないんですけどね……

後略


[ 私たちは、ある日こんなことを話した(4) ]私たちは、ある日こんなことを話した2016/05/24 00:17