私たちは、ある日こんなことを話した(11)

ピアハウスしょうわの利用者Jさんとの対話。

前略
ナガシマが営業以外の仕事がうまくできないことについて語りながら

ナガシマ:薄々わかるんですよ俺役に立ってないなって(笑)

Jさん:身体動かしてるって面では、やってる感が。落ち葉を掃除するだけでも目に見えて結果が出る。

ナガシマ:ああ、そうですね。僕ね落ち葉の掃除も満足にできないんですよ(笑)

Jさん:(笑)竹ぼうきとかでやっても。

ナガシマ:うん。なんか何も無い状態にできないんですよ(笑)ひどいなあと思って自分(笑)ダメじゃんてね。

Jさん:そうじは大雑把だけど、〇〇の場合はやたら丁寧にやり過ぎて作物をダメにするんでしたっけ?

ナガシマ:そう(笑)だからほんとにダメだ(笑)ひどいね僕は。認めます。かといって事務作業がうまいかっていうとダメだし。

Jさん:それもやってみたから分かることですよね。

ナガシマ:そうですね。

Jさん:やらないでどうかっていうのがあって。やってみないとわからない。

ナガシマ:うん。

Jさん:「なんでもやってみろ」ってのが答えのような気が最近してきました。

ナガシマ:「やってみろ」ね。

Jさん:始めるまでが大変なんですよね。

ナガシマ:そうですね……始めるまでが大変な傾向がある人がここ(ピアハウス)にいる人は多いかな。

Jさん:そうですね。だからここで入り口というか体験みたいなのがあればもしかしたら敷居が(はたらくことの)低くなるかもですね。

ナガシマ:そうですね。

Jさん:例えば農作業をやって「ああ、こういうことをするんだ」ってわかれば、また収穫時期が来た時、やることがわかってるので、やりやすくなるかもしれないですよね。

ナガシマ:うんうん。

Jさん:最初からできないのは当たり前なんだけど、出来ないことを気にしてしまうとこがあり。。自分が嫌ですね。

ナガシマ:うん。

Jさん:かといって、ピアハウスで体験の場を一杯作ってくれってわけでもないんですけど。とっかかりとしてはいいんですけど。やったら参加するって言ったら「うーん」ていう(笑)

ナガシマ:それは、はたらいてみる体験の場をやってみるとすごくよくわかります。そんなに反応がいいわけじゃないっていう。まあお金が絡んで、働く人としてなんで私が選ばれないであの人が選ばれるんだみたいなトラブルも過去にはありましたけど、でも全体としては、さほど需要があるわけでもない。

Jさん:なるほど。

ナガシマ:しかし敢えてやってるってところには、それなりに自分の中で考えがあってやってるんです。

Jさん:うん。

ナガシマ:ちょっとウザいことを混ぜ込もうとしてやってるんです。

Jさん:たしかにそれはありますね。「居場所」って言いながらもなんかこうアクションを起こしてるじゃないですか。

ナガシマ:うん。

Jさん:でも、そういうことがないと、ほんとにただの居場所、スペースでしかないとも感じてしまう。

ナガシマ:実はただの居場所にした方がこちらも楽で、自腹を切って協力企業を探す苦労も無くなり、利用者も増える可能性が高いと思うんですけど、でもわざとウザい「はたらいてみる」ってことを入れておいて、そのウザいことをやってる人ってポジションに僕がなってることを維持してるんですよね。

Jさん:それは刺激として大事だと思います。

ナガシマ:ウザいことがない世界はどこにもないんだから、ここも結局はウザいことがあるんだよって状態にしておきたい。

中略

Jさん:はたらいてみる体験についての理想的な連携ってどんなものを考えているんですか?

ナガシマ:これは、使って下さる会社さんと体験してみる人のマッチングが重要で、一番いいのは、どちらの情報も一か所に集まってる状態だと思うんです。例えば今はA組織、B組織、C組織があったとすると、それぞれが自前で職場開拓をやったり情報を囲ってたりする。そうすると例えばバーで働いてほしいお店の情報をA組織が持ってて、バーで合理的配慮がある中で働いてみたい人がC組織にいたりする無駄が発生してしまうと思うんです。まあ、こういうの解決するの簡単じゃないですけど。僕も自分の仕事の関係でピアハウスに時間をとりにくくなりましたし。

中略

Jさん:体験を短期でやると履歴書が埋まっていくじゃないですか。それもある意味マイナスになるのかなって。会社によっては、なんでちゃんと長くやってないの?みたいなことになりますから。

ナガシマ:ああ履歴書問題。よく出るテーマですよね。

Jさん:勤めるからには一か所で長くのほうがいいみたいな社会通念がある。そういうのもちょっと社会的に理解があってほしい気がします。

ナガシマ:そうですね。

Jさん:だって、続かないのは何らかの理由があるわけじゃないですか。自分に原因があるかもしれないし、会社側に理由があるかもしれないし。そこで「なんで転々としてるんですか?」って聞かれると、やはりちゃんとしたとこに勤めたほうがいいんだなってことになって。。そうすると今まで何もしてなかったところにいきなり長期を目指してドカーンといっても無理なんですね、多分。で、体験で色々やりたいなって面と履歴書にマイナスになるからと思って、やったほうがいいのかな、やらないほうがいいのかなって変な葛藤があったりします。

ナガシマ:なるほど。

Jさん:でも、やらないでグズグズしてるよりは、とりあえずやったほうがいいよねってのが。

ナガシマ:んー、そうですね。

Jさん:最近そういう風に割り切れるようになってきました。

ナガシマ:うん。

Jさん:とりあえずやってみようっていう。

ナガシマ:とりあえずやってみようね。あのー、とりあえずやってみようを応援してあげるっていう空気は社会にあり過ぎるくらいあってもいいと思うんです。

Jさん:そうですよね。

ナガシマ:それがすごく無いんです。

Jさん:うん。

ナガシマ:「とりあえずやってみよう」の勇気をくじく施策があったりするのよ。
やらないほうが安全だったりする。

Jさん:うん。

ナガシマ:安全な状態を確保した上でさらにチャレンジしたら得をするって仕組みを作らない限り、このままでいいやとあきらめちゃった人はもうなかなかチャレンジしない。

Jさん:そうか。やったことによってかえってマイナスになるってことも多い。

ナガシマ:現状維持しておけば、すごく楽しい事もないけど、とりあえず安全といえば一番安全ではありますから。で、お金以外のリソースを社会が与えていない。

Jさん:ああ、そうですよね。

ナガシマ:リソースがお金だけになると、それはいびつな支援になっちゃうと思います。

中略

ナガシマ:履歴書の空白問題を面接で問題としない空気ができれば、ものすごいリソースになりますね。もちろん企業が履歴に空白がある人を採らないってことはすごく理解できます。僕が仮に経営者だったとしても採らないかもしれない。でももう少し柔軟な試みをしてみるように促すことは行政ができるかもと思ったりします。

Jさん:どんなふうに?

ナガシマ:空白や転々には原因が必ずあるわけです。その原因はセグメントして見つめて取り除きその上で雇用して試してみるっていう視点を持つほうが社会的に得なんだよっていう空気を作ることなら、行政が企業と連携して本気になればできるかもしれない。

後略


[ 私たちは、ある日こんなことを話した(11) ]私たちは、ある日こんなことを話した2017/12/29 23:47