私たちは、ある日こんなことを話した(10)

今回は、年末のアルバイトを体験したAさんとの話です。

ナガシマ:こないだ話したことですけど、ここ(ピアハウスしょうわ)で紹介された仕事と、自分で面接受けたバイトは違うって話がとても面白いと思って

Aさん:はい

ナガシマ:ピアハウスで紹介するような働く場所の一部っていうのは、よく中間就労とかっていうんですけど、それは果たして是か非かわからないんです自分は。わからないまま悩みながら一応はそれを少しだけ用意してて。

Aさん:はい

ナガシマ:普通のバイトは、いわゆる合理的配慮はあるかないかは行ってみないとわからない。

Aさん:僕がよかったと思うのは、今回のバイトが4日間だけってのが。

ナガシマ:ああ。

Aさん:あまり長いと。。。4日限定の人間関係だけだから、無理してるわけではないですけど、明るくできたってのがあるかなと。長期間の人間関係だと多少入るときにもあんまり、いじられないようにとか思って不愛想になると思うんですけど、4日だからある種、捨てばち感でいけて、失敗してもいいやと思えてよかったのかと思いますね。もうちょっと長いと精神的にきついかもしれないですね。

ナガシマ:うんうん

Aさん:で、やって自信になりましたね。なんだかんだ言って。。4日とはいえ定められた期間をやり終えたっていう。

ナガシマ:うん。そうすると、幽霊だと思っていたものの正体が枯れ尾花だったみたいなことがあるんですかね?

Aさん:ああ。もっと攻撃されるんじゃないかとか思ったんです。

ナガシマ:ああ職場の人から。

Aさん:今思うとそんなことはなかった。

ナガシマ:攻撃ってのは具体的にはどういうことで?

Aさん:てか、もはや被害妄想の域だと思うんですけど、バイト行ったら、自分をなんとなくそういう奴だと向こうが見抜いて……

ナガシマ:(笑)

Aさん:思ってたんですよ、勝手にですけど(笑)

ナガシマ:「そういう奴」っていうのは?(笑)

Aさん:ひきこもってて、病気的な。

ナガシマ:病気的なね。

Aさん:ですね。

ナガシマ:ああ。

Aさん:しかも、バイト行って具合悪くなったときの伏線張るために、今まで病気で寝てましたって自己申告しましたけど、それすら言わなければなんとかスルーできましたね。

ナガシマ:ああ

Aさん:少なくとも短期バイトくらいなら全然大丈夫だなって感じましたね……これがステップになったんで次、明日から入りますが、週二回くらいでやって。生産的っていうか、より社会に近い人間関係が作れていったらいいなと思いますね。

ナガシマ:うんうん。

Aさん:あと、ほかにも考えたんですけど、なんでバイト中あんな自分が元気だったのかなと思った時に、新しい場所に行って新しいことすると慣れてないこともあって多分元気になるんじゃないかと思ったんですよね。慣れてることって怠いというか気疲れしたりもすると思うんですけど、慣れてないところに行ってちゃんとやるべきことがあると元気になれましたね……

ナガシマ:こわくはなかったんですか?

Aさん:ちょっとこわかったですけど。

ナガシマ:逃げ出すほどのこわさはなかった?

Aさん:ああ、なかったですね。で、なるべく人当りよくいこうというのが、やる前からあったんです。それが意外とうまくいったんですよね。おばちゃんていうか主婦の方が多かったのがよかったのかもしれないですけど。

ナガシマ:ああ。

Aさん:やっぱし、行ってあらためて思ったのは、僕もそうですし、ここ(ピアハウスしょうわ)に来る人もそうかもしれないですけど、作業より職場の人間関係の方がコケる原因だなと。作業はあまり問題ないんですよね。だいたい人間関係でコケてるんですよね。そこがある程度良好なら、全然問題ないんだなと思いました。

ナガシマ:人間関係ってのは、怒鳴られるとか……

Aさん:そこまででは。

ナガシマ:殺伐とした空気とか?

Aさん:殺伐としてるのも僕いやなんです。会話の中に入れててうまくまわってると居心地いいですし、それがちゃんと出来てましたね。ま、多少色々ありましたけど。

ナガシマ:うん。ということは逆に言うと、そういった殺伐とした場に行ってしまって気持ちが萎えるリスクもありますかね。

Aさん:ありますね。

ナガシマ:普通のバイトだったら。そうすると運もある?

Aさん:ある。だから4日間だからなんとかなるってのがあって。後半二日は殺伐としてて、それはきつかったですね。作業量的には楽なんですけど殺伐としてて。

ナガシマ:ああ。

Aさん:臨床心理士の人と話してるときに、どういう話の流れでそうなったのかはわからないんですけど「それじゃまるで自分が全部被害者みたいな形で接してたよね」と言われて気づいたんですけど、色々あったのは事実ですけど、全部自分が被害者みたいな意識があって、それで人間関係に対応してたっていうか、そういうマインドセットでやってたっていうのがあって、それはとても悪いし、思い当たって、とても心に刺さったんですよね。

ナガシマ:刺さったっていうのは気づいたってことね。

Aさん:常に受動的で被害者的に接してたってのがあって、ちょっとそれをやめようって。改善もちょっとはできたかなって感じですかね。

ナガシマ:よくこういうので、多分、ひきこもりのド真ん中の人は「それすらできないのが私なんです」みたいな話になっていくことが多くて。出来る人は恵まれてるほうで、「それすら出来ない私」がいるんですみたいな話になるんです。でもそれはそれとして尊重するけど、出来る人が出来た体験を語っておくほうがよいのではないかと思っていて。

Aさん:はい。

ナガシマ:出来ない人からすると、出来た人の話に多少の反発があったりするかもしれないんです。でも出来ない人がもし何かが変わる準備が整ったときに、その語っておいた語りが、役立つことに逆転する可能性があると思っていて。そういう意図を持って反発されること含みで、こういう事を載せておきたいと思ったりするんです。

Aさん:僕も前は、これ行くの嫌だなって、きついなっていうのがあって出来ない側だったと思うんですけど、もうちょっと前だと。まあ、ここ来てもうすぐ一年経ちますし自分が変わらないことに苛立っていて。

ナガシマ:ああ。

Aさん:なんかうまく話そうとしてますね(笑)

ナガシマ:僕もね。録音するとうまく話そうとしちゃいますね(笑)でもこれ生きるヒントだと思っていて。つまり環境で人はふるまいを変えるじゃないですか。

Aさん:変えますね。

ナガシマ:ええ。だから環境の調整が大事なんだと。ちゃんとした場に浸るとある種の強制力がはたらいてちゃんとするっていう。紳士淑女に扱われると、そうふるまい始めるみたいな。

Aさん:一回そう見られたから、もう一回そういう風に見られたくないってのもあると思いますね。それ多分良い事だと思いますけど。

ナガシマ:今度、「インテンショナルピアサポートin山梨」やるじゃないですか。僕インテンショナルピアサポートの良さをうまく説明できないんですよ。何かを自分もできそうだって思わせてくれる雰囲気があったみたいなことしか語れてないんですけど、でも実はそれがすごく大事だと思っていて、そもそも傷のなめ合いになって可能性が見えなくなるのが嫌だという人が始めたもので、シェリー・ミードさんて人ですけど。そのベースから日本風にアレンジした展開をされている方たちは、その可能性を見つけ出す雰囲気みたいなものをどこかで意識しながらやってるのかなと思ったりしてます。

中略

ナガシマ:現状維持に揺らぎを生じさせる話をしたいと思っていて、こういうバイト体験てまさにそういう話ですよね。

Aさん:ああ。

ナガシマ:自分も揺らぐし、話をしてる人も聞いてる人も。

Aさん:いつもと違う場所に行くと、欲望が刺激されますよね。

ナガシマ:斎藤環が言うみたいに、「欲望は他人からもらう」みたいなね。

Aさん:そうですね。揺らぎってことでいうと、〇〇〇〇で〇〇〇なった〇〇〇〇の話とか。

ナガシマ:いい揺らぎですね(笑)

以下、掲載できない内容のため後略


[ 私たちは、ある日こんなことを話した(10) ]私たちは、ある日こんなことを話した2017/12/26 19:45